歯は大事にして〜
歯の神経を抜く作業は、一筋縄ではいきません。1回では終わらないのです。
1度、虫歯の部分を全て削り取り、次回神経を取る作業に入る日まで、仮の詰め物を入れられていました。その詰め物は非常に臭く、以前のブログでも紹介しましたが、失敗したおかゆをずっと口に含んでいるような、汚デンプン(おでんぷん)の臭いがします。私はこの激臭に耐えながら、神経を抜く作業に入る日、すなわち汚デンプンの臭いから開放される今日この日を心待ちにしていました。
予約していたのは17時で、私は5分程前に到着し、座って待っていました。
17時を過ぎても、なかなか呼ばれません。すると、紫の服を着た歯科衛生士のお姉さんがやって来ました。
「刺身さん、すみません、只今混み合っておりまして、あと5分から10分ほどお待ちいただくことになってしまうんですが、お時間大丈夫ですか?」
時間には余裕があったので、「大丈夫ですよ。」と答えました。
「本当にすみません。ちなみに、今回笑気麻酔はお使いになりますか?」
笑気麻酔は、鼻から吸う空気タイプの麻酔です。これを吸っている間は、全身がぼーっとしてフワフワな状態になります。そのフワフワになっている間に治療をしてしまうというものです。
私は「使いません。」と答えました。
それから5分程して、緑の服を着た歯科衛生士のお姉さんがやって来ました。
「刺身さん、すみません、まだお待ちいただくことになってしまうんですが、このあとご予定などこざいませんか?」
私は「大丈夫です。」と答えました。
「本当にすみません。ちなみに、今回笑気麻酔はお使いになりますか?」
私は、デジャヴかなと思いつつ、「使いません。」と答えました。
その10分後、水色の服を着た歯科衛生士のお姉さんがやって来ました。
「刺身さんごめんなさい、あともう少ししたらお呼びできると思いますので……。それからなんですけど、今回笑気麻酔って使われますか?」
「いえあの、使いません。」私は少々強めに答えました。
予定時間から30分遅れた17時30分、ようやく私の番が回ってきました。ピンク色の服を着た歯科衛生士のお姉さんが私を治療室へと誘います。
「遅れてしまって本当に申し訳ございませんでした……。あ、かわいい靴下ですね。その緑のお洋服も、凄く似合ってますね。
緑の服って、似合う人と似合わない人がいますよね。私もこの前緑の服買ってみたんですけど、なんだか合わなくて……。だから刺身さんがすごく素敵に着こなしていたのでびっくりしました!」
予定時間を大幅に過ぎてしまったからか、お姉さんは一生懸命私の機嫌を取ってくれました。
「そういえば刺身さん、今回笑気麻酔ってお使いになられますか?」
「大丈夫です!」わたしは強めに答えました。心なしか、自分の声帯が仲里依紗に変化したように感じました。この後坂道で自転車のブレーキが故障して、踏切で電車にはねられないように気をつけよう。と誓いました。
治療は痛みなく終わりました。「では詰めていきますねー。」と先生が言います。私は非常に嫌な予感がしました。
「はい、終わりましたよ。」おそるおそる口を閉じます。やはり、また詰め込まれていました。ヤツです。「汚デンプン」です。もう最悪です。
歯茎に注入する麻酔の量がめちゃくちゃ多く、治療から3時間が経とうとしている今も口がしびれています。汚デンプンとも、なんだかんだで5月いっぱいまで共存していくことになりそうです。虫歯になったことがない人を本当に尊敬します。皆さんも気をつけてください。デンプンが好きなら大丈夫だとおもいます